山野草を活き活きと再現 牛嶋君子さん 74回生

牛嶋さんは、身近な山野草を題材に、緻密にして繊細に樹脂粘土を使って再現した樹脂粘土アートを、小郡市を中心に国内で10数カ所に教室を設けて活動されています。
牛嶋さんは、合川小学校、良山中学を経て久商に進学されましたが、学生時代は図画工作や美術などの科目は意外にも不得手だったとのこと。ただ良山中学の時から部活で池坊流の生け花を始められ、久商に進学しても珠算部に所属しながら華道部にも属して、生け花を続けられて卒業後は、和裁学校に進まれたのちに呉服の仕立てなどをされながら、池坊師範の免許を得られて華道教室を開かれたとお聞きしています。


45歳の時に粘土細工に出会い、粘土で好きな花々を再現してみようと思い立って始められたとのことでした。その時の思いは、「道端や野山でひっそりと咲く草花、山野草、小さな果実。その清楚な姿に惹かれ、本物そっくりに再現してみたいと思って制作してきました。」と述べられています。
粘土細工を始めて2年間は試行錯誤されたのちに、樹脂粘土工芸「花実アート」を主宰されて、生徒さんと共に作品展などを開催されているとのことです。
山野草を生きているように再現するために、草花をパーツ毎に分解して、レピシを作り、それを元に粘土を使って作成していく、とのことですが、粘土から花を再現する過程では、花や葉、茎などの再現は大変困難とは思われます。更には、その花の持つ独自の色合いを粘土で再現することの方がより難易度が高いと感じるほど、精密且つ正確に再現されていることに驚かされます。美術系の学科が不得手だったとは、にわかには信じられない出来映えです。それは、生け花を続けるなかで、目前の花を美しく活かすことを長く追求されてきた感性と観察力がアートに活かされているのでしょう。
そして、今では花や果実の作成レシピは450種を超えており、また、入門テキスト書も、芸術出版社から3冊出版されています。このアートの独創性は、商標登録されており、素材や製法、作品の種類などが認可されていることでもわかります、
好きな草花を活き活きと表現したいという思いを具現化されて、仕事にまで昇華されていました。自分なりの手法で、草花を活かそうとする試みは、幾多の創意工夫と情熱で実現したものでしょう。

昨年には、25年間の活動の成果が認められて、40ほどの団体が参加して行われたカルチャー芸術展で芸術準大賞を受賞されています。この審査には假屋崎省吾氏やキャシー中嶋さんなどが審査員として審査に当たられたようです。
現在では、福岡市で5カ所の教室があるほか、東京、神戸、熊本、鹿児島、長崎、古賀市など九州を中心に10カ所余りの教室をもたれており、毎日各教室を回って生徒さんを指導されるという充実した日々を、お元気に過ごされておられるようです。取材した翌日にも鹿児島まで展示会で出向かれるとのことで、精力的に樹脂粘土アートの指導、普及に努められておられます。
教室では、牛嶋さんや先生の指導の下で、毎月1作品、4年間で48種類の課題作を習得していきながら、作品の出来映えを牛嶋さんが認められた生徒さんだけが、開講または作品を販売する資格を得られるとのこと。
また、教室の壁には鳩山邦夫元衆議院議員の祝辞なども大切に掛けられており、「花実アート」の知名度の高さを知る思いでした。
今後の活動としては、2026年6月にフランスのパリで開催される大相撲のイベントに合わせて行う展示会に向けて準備されておられる、また、野村誠一氏の撮影による牛嶋さんと生徒さんの作品集の書籍発行も予定されているとのことで、活動の益々の発展が期待されるところです。
ご自分としては「60代でやりたいことをすべて叶えておいて、70代はゆっくり過ごそうと考えていたが、70代になっても何も変わらなかったので、パリでの展示会を思い立ち、作品集の出版をして75歳までは頑張っていこう」と元気に語っておられました。
久留米市での教室は、牛嶋君子さんの妹さんで、久商76回生の江島恵子さんが開講されているとのことで、ご姉妹でアートの普及活動をされているようです。

牛嶋さんは、これから何か新しいことを始めようとされている方や新たな人生の道を探されている方に対して「ものごとを始めるのに年齢は関係ないと思います。45歳で他人がやらないことを始めた時のことを思い返せば、自分の好きなことを仕事にしたから頑張れたし続いたのではないでしょうか。新しいことを始めるには、まずは続けることではないかと思います。時代の変化に対応しながら、より良いものにしようとの気持ちがあれば夢は叶います。挑戦すること。そして、それを継続させるには、見栄や欲などに動かされていない心奥(しんおう)をもち、本当に好きなこと、やりたいことを見つけて、ひたすら努力することで、自ずと結果はでるものでしょう」と語っておられました。